【メルセデス・ベンツ】CLA200dオーナーが昨今のタッチ操作全盛のインテリアについて思うこと【利便性は?】

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 2017年に登場した Tesla Model 3 は、自動車業界に大きな衝撃を与えました。

 運転席の前に並んでいたはずのメーターや物理スイッチを大胆に削り、中央に巨大なディスプレイだけを配置するという思想は、それまでの「クルマの常識」を根本から変えてしまったのです。

 その流れは瞬く間に業界全体へ広がりました。

 フォルクスワーゲン は8代目ゴルフでタッチスライダー中心の操作系へ移行し、BMW も新世代iDriveで物理スイッチを大幅削減。そして メルセデス・ベンツ は2021年、左右Aピラー間を覆う巨大ガラスディスプレイ「MBUXハイパースクリーン」を発表しました。

 まさに“スクリーン化競争”の時代だったと言えます。

 しかし、タッチ操作化は色々な物議を醸すこととなりました。

車の物理スイッチがようやく復活してきている理由。スイッチなら10秒の操作、モニターでは44.9秒 | Business Insider Japan
エアコン、音量調整、果てはハザードランプまで—— タッチスクリーンの登場によって、物理スイッチたちはどんどんその中に吸い込まれていきました。ですが、物理スイッチの方が認知負荷や視線の移動が圧倒的に少なくて済むことはテストでも実証済み。海外の認証機関も基準を変化させ、メーカーも対応に迫られています。

メルセデスが描いた「未来の高級車」

 特にメルセデスのインテリア戦略は象徴的でした。

 EQS に初採用されたMBUXハイパースクリーンは、単なる大型モニターではありません。

 助手席まで一体化した巨大な曲面ガラスによって、クルマの内装そのものをデジタル空間へ変えてしまうような発想でした。

 さらに最近CクラスやEクラスでも、縦型ディスプレイやアンビエントライト、大規模なソフトウェア統合が進んでいます。

 メルセデスが目指していたのは、「高級車の価値」を革シートや木目だけでなく、ソフトウェア体験そのものへ広げることでした。

 OTAによる機能追加、AIによる学習、好みに合わせたパーソナライズ。スマートフォンのように進化し続けるクルマこそ、新時代のラグジュアリーだと考えていたわけです。

しかし現実は「使いにくい」だった

 ただ、この流れに対してユーザーの不満は次第に大きくなっていきます。

 象徴的だったのが、スウェーデンの自動車誌『Vi Bilägare』による比較実験です。

 物理ボタン中心の2005年式 Volvo V70 は、エアコン操作やデフロスター、ラジオ設定など複数タスクを10秒で完了しました。

 一方、タッチ操作中心の最新EV勢は大幅に時間がかかりました。

 Tesla Model 3 は23.5秒、Volkswagen ID.3 は25.7秒、BMW iX は30.4秒。さらにMGでは44.9秒にも達しています。

 つまり、「先進的」であるはずの最新車が、17年前のクルマより圧倒的に操作しづらかったのです。

問題は“懐古主義”ではない

 ここで重要なのは、「昔のボタンが好き」という単純な話ではないことです。

 本質は、運転中の認知負荷にあります。

 物理ボタンなら、ドライバーは位置を手で覚え、視線を前から外さずに操作できます。しかしタッチパネルでは、画面のどこを押すか毎回確認する必要があります。

 特にエアコン温度、デフロスター、音量、シートヒーターなど頻繁に使う機能ほど、この差は大きい。

 しかも夜間や悪路、冬用グローブ着用時など、実際の使用環境ではタッチ操作の不便さがさらに増します。

メルセデス自身も“揺り戻し”を始めている

 興味深いのは、メルセデス自身も最近この問題を認識し始めていることです。

 実際、最近のインタビューでは、メルセデス幹部が「大画面は重要だが、特定機能には物理ボタンが必要」と明言しています。

 以前はハプティック式だったステアリング操作系も、物理ダイヤルへ戻されました。

 つまりメルセデスは今、「完全タッチ化」から、「デジタルと物理操作の融合」へ方向修正を始めているとも言えます。

 これは単なる後退ではなく、高級車として本当に快適でストレスの少ない体験とは何かを、改めて見直し始めたとも言えるのかもしれません。

ソフトウェア化が抱える新たなリスク

 さらに近年は、ソフトウェア依存そのものの危うさも浮き彫りになっています。

 2026年には メルセデス・ベンツ が、インフォテインメント制御ユニットの不具合によってデジタルメーター表示が消える問題でリコールを実施しました。

 速度計や警告灯などの重要情報まで、一つのソフトウェア基盤へ統合されていたため、不具合の影響範囲が広がった形です。

 スクリーン化は見た目の未来感を演出できますが、同時に「一箇所の故障がすべてへ波及する」という新たなリスクも抱えているわけです。

Euro NCAPも物理ボタン重視へ

 そして2026年、ついに流れが変わります。

 欧州の安全評価機関である Euro NCAP が、一部重要機能について「Direct Physical Input(直接的な物理入力)」を求める方針を打ち出しました。

 これは単なる好みの問題ではなく、「安全性の問題」として扱われ始めたことを意味します。

メルセデスの次の課題は“融合”

 それでも、メルセデスが大型スクリーンを完全にやめることはないでしょう。

 なぜなら、デジタル空間による演出やパーソナライズは、今やブランド価値そのものになっているからです。

 アンビエントライト、巨大ディスプレイ、AIアシスタント、OTA進化などは確かに未来感や所有満足度を高めています。

 だからこそ今後のテーマは、「スクリーンかボタンか」ではありません。

 重要なのは、“どこをデジタル化し、どこを物理操作として残すのか”というバランスです。

 安全を特に重視するメルセデスとしては、安全性に配慮しつつのその最適解を探ることこそ、これからのメルセデス・ベンツのインテリア進化における最大のテーマなのかもしれません。

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