タイヤの耐摩耗性は“数%ずつ”進化するのが普通だった
タイヤという製品は、劇的な進化が起こりにくい世界です。
特に耐摩耗性は難しく、長持ちさせようとすると、
- グリップ低下
- ウェット性能悪化
- 乗り心地悪化
- 静粛性低下
など、別の性能へ悪影響が出やすいからです。
そのため各メーカーは、数年ごとのモデルチェンジで“数%ずつ改善”を積み重ねるのが一般的でした。
その典型例が、ダンロップ のエナセーブシリーズです。
エナセーブは「着実進化」の代表例だった
ENASAVE EC202 から ENASAVE EC203 への進化では、ダンロップは耐摩耗性能向上を大きくアピールしました。
メーカー公表値では、
- 通常5リブパターンで耐摩耗性能9%向上
- 軽・コンパクト向け4リブでは17%向上
という改善が行われています。
当時としてはかなり頑張った数字です。
特にEC202時代は、
- 摩耗後ノイズ
- 偏摩耗
- 減りの早さ
など、“安価エコタイヤ感”が残っていたため、EC203は「長持ちするエコタイヤ」への転換点でもありました。
EC204では進化幅が現実的になった
ただ興味深いのは、その次です。
ENASAVE EC204 では、EC203比で、
- 耐摩耗性能4%向上
- 耐偏摩耗性能16%向上
という進化になっています。
つまり、単純な寿命そのものの伸びは4%。
ここにタイヤ開発のリアルがあります。
EC203で大きく改善した後は、もう急激な伸び代が少ない。
そのためEC204では、
- 偏摩耗を抑える
- 最後まで静かに使える
- 減り方を均一化する
という、“品質の洗練”へ進化の軸が移っていったのです。
これは決して悪いことではありません。
むしろタイヤが成熟商品である証拠です。
だからこそミシュランの「30%向上」が異様だった
そんな中で、ミシュランは衝撃的な進化をさせてきました。
Primacy 4+ からPrimacy 5 への進化で、ミシュランは「耐摩耗性能30%向上」を打ち出しました。
この数字、タイヤ業界の感覚で見るとかなり大きです。
なぜなら、エナセーブの進化を見ると、
- EC202→EC203:9%向上
- EC203→EC204:4%向上
というのが、むしろ“普通”だからです。
しかもそれぞれ数年かけたフルモデルチェンジです。
一方プライマシー5は、一世代で30%。
もちろん測定条件や試験方法は各社で異なります。
ただ、それを差し引いても、この数字はかなりインパクトがあります。
EV時代がタイヤ進化を加速させている
背景には、EV時代への突入もあるでしょう。
最近のEVは、
- 重い
- モーターの瞬発トルクが強い
- 静かでタイヤノイズが目立つ
という特徴があります。
つまり現代タイヤには、
- 長寿命
- 静粛性
- 低燃費
- ウェット性能
- 高荷重対応
を全部同時に求められます。
これは従来以上に難しい課題です。
その中で耐摩耗性を大きく伸ばすには、単なる小改良では足りません。
コンパウンド設計、内部構造、接地制御など、タイヤそのものの思想変更が必要になり、ミシュランは抜本的な改良を施してきたわけです。
タイヤ業界は今、大きな転換点かもしれない
ダンロップのエナセーブシリーズが悪いわけではありません。
むしろ、十数年かけて少しずつ洗練を積み重ねてきた、非常に真面目な進化だと思います。
ただ、その“数%ずつ進化する世界”の中に、突然現れた30%向上という数字。
これは単なる新商品ではなく、タイヤ業界全体が新しい技術フェーズへ入り始めたサインなのかもしれません。
30%ロングライフということは、完全に使い切る人なら実質的に価格が3割引という捉え方もできるので、長距離を走るユーザーにとってはPrimavy5は非常にありがたい選択肢となりますね。
ブリヂストンもREGNO GR-XⅡで謳ったロングライフ性能の向上幅はわずか6%だったので、いかに30%という進化幅が異様かが分かりますね。
しかも、もともとロングライフ性能に定評があるPrimacy4+から進化させてきたので尚更です。

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