2025年後半から2026年にかけて、メルセデス・ベンツに関して少し気になるニュースが出ています。
米国の大手格付け会社であるS&Pグローバル・レーティングが、メルセデス・ベンツAGの格付け見通しを「ネガティブ」に変更した、というものです。
「格付け」「ネガティブ」と聞くと、すぐに経営危機のようなイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、今回のニュースは、そこまで単純な話ではありません。
格付け見直しとは?
S&Pのような格付け会社は、企業が将来きちんと借金を返せるか、財務的にどれくらい安定しているかを評価しています。
これが「信用格付け」と呼ばれています。
今回のポイントは、
格付けそのものは変わっていない、という点です。
- 現在の信用格付け:A(据え置き)
- 格付け見通し:安定的 → ネガティブ
つまり、今すぐ危ない、という評価ではないが、このままいくと将来的に評価が下がる可能性がある
という「注意信号」に近い位置づけです。
なぜS&Pはネガティブにしたのか?
S&Pが問題視している理由は、大きく分けて3つあるとされています。
1.中国市場の落ち込み
メルセデスにとって、中国は最も重要な市場のひとつです。販売台数だけでなく、利益面でも中国は大きな割合を占めています。
しかし最近は、
- ・中国市場での販売が大きく減少
- ・高級車市場全体が減速
- ・中国メーカーとの競争が激化
といった状況が続いています。
中国で売れなくなると、メルセデス全体の利益にも直接影響するため、S&Pはここを特に重く見ています。
2.EV分野での苦戦
電気自動車は今後の主戦場ですが、S&Pはメルセデスがこの分野で思ったほど勢いに乗れていないと評価しています。
EV市場自体は拡大していますが、
- ・メルセデスのEV販売は伸び悩み
- ・競合メーカーはより早くシェアを拡大
- ・開発・設備投資のコストは増加
という構図になっています。
つまり、EVにお金はかかっているが、十分なリターンをまだ得られていない、という見方です。
3.利益率の低下
もうひとつ重要なのが、利益の出にくさです。
S&Pは、今後1〜2年のメルセデスについて、
- ・利益率が以前より低い水準で推移
- ・関税リスクやコスト増が重荷
- ・新技術・新モデルへの投資が続く
と予測しています。
売上があっても、利益が出にくい状態が続くと、企業の体力はじわじわと削られていきます。S&Pは、この点を中期的なリスクと見ています。
まとめ
今回のS&Pの判断は
・メルセデスは依然として大企業としての体力はある
・しかし、中国市場、EV、利益率の面で短期的な逆風が強い
・このまま改善しなければ、将来的な評価引き下げもあり得る
という内容です。
ブランドとしての価値や技術力がすぐに揺らぐわけではありませんが、中国市場の回復とEV一辺倒政策からの脱却を測らないと、経営環境はこれまでよりも確実に厳しくなってくる、という現実を示すニュースといえるでしょう。
廉価なクラスを縮小して台数を追わずに利益率を求めるという戦略も発表されていますが、本当にうまくいくのかは慎重な見極めが必要と思われます。



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