ドイツのスポーツカーメーカー、ポルシェが経営の正念場を迎えています。
2024年1〜9月期の営業利益はわずか4000万ユーロ(約71億円)と、前年の40億ユーロ超から実に99%減少。
営業利益率も14.1%→0.2%まで急落しました。
かつてフォルクスワーゲングループの稼ぎ頭だったポルシェに、いったい何が起きているのでしょうか。
EV戦略転換と“電動化の壁”
ポルシェは当初、「2030年までに販売の80%を純電気自動車に」という野心的な計画を掲げていました。
しかし、市場環境の変化とコスト増大に直面し、その方針を大幅に見直しています。
バッテリー生産子会社「セルフォース」の清算も決定し、EV専業化を急ぎすぎたツケが露呈しました。
特に中国市場の低迷と、米国での関税負担が業績を直撃したようです。
ポルシェは米国に生産拠点を持たず、競合のBMWやメルセデスに比べて価格競争力を失っています。
さらに、電動化対応に伴う開発・人件費の増大が重くのしかかりました。
一方のメルセデス・ベンツは「柔軟な電動化」にシフト
同じドイツ勢でも、メルセデス・ベンツの戦略はより現実的です。
当初は「2030年までにEV専業ブランドへ」と発表していたものの、近年は方向転換しました。
内燃機関やプラグインハイブリッドを当面維持し、各市場のインフラや需要に応じた“柔軟な電動化”へ舵を切っています。
最新のメルセデスは、MBUXインテリアアシスタントなどデジタル体験での差別化を強化しながら、EVとエンジン車の共存を図る構えです。
特にアジア市場ではPHEVの販売比率が高く、ポルシェよりは現実的な需要を的確に捉えていると言えるかもしれません。
ポルシェの「次の一手」は?
ポルシェは今後、新CEOとしてマクラーレン出身のミヒャエル・ライターズ氏を迎え、エンジン車とEVの最適バランスを模索することになります。
「走りの哲学」を守りながら、時代の潮流にどう順応するのか──欧州プレミアムブランドの真価が問われる時期に差し掛かっていると言えそうですね。

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