今日は、先週末に発表されたメルセデス・ベンツの第3四半期決算に関連するニュースを中心に、ドイツ自動車業界全体の現状を見ていきます。高級車メーカーのメルセデスやポルシェ、さらには業界の巨人フォルクスワーゲン(VW)が直面している困難が浮き彫りになってきています。

メルセデス・ベンツの第3四半期決算
メルセデス・ベンツは、第3四半期の純利益が前年同期比で54%減少し、営業利益率も4.7%に低下しました。2024年の通年営業利益率の見通しも8.5%と、昨年の12.6%から大幅に引き下げられています。この背景には、EV(電気自動車)販売の不振と、中国市場での高級モデルの販売低迷が挙げられます。
具体的には、EV販売台数が前年同期比で31%減少し、プラグインハイブリッド車(PHEV)を下回る結果に。特に中国市場では、在庫処理に多額の支援金を投入したものの、販売改善には至っていません。メルセデスのCFOであるハラルド・ヴィルヘルム氏は「需要が予想をはるかに下回り、まさに土砂降りの状況」と述べています。
ポルシェの決算と中国市場の課題
同じく第3四半期決算を発表したポルシェも厳しい状況です。売上高が7%減少し、営業利益率は昨年の18%から14%に低下。特に、EVモデルのタイカンは販売台数が前年同期比で50%減少し、中国市場では9月にわずか23台しか売れないという深刻な結果となりました。
中国では、シャオミ(Xiaomi)などの現地ブランドが価格競争力を武器に市場を席巻しています。タイカンの性能に匹敵するシャオミのEVが、価格で4分の1に抑えられている点は象徴的であり、流石にポルシェは厳しい戦いを強いられているようです・・・。
フォルクスワーゲンの大規模リストラ計画
VWはさらに厳しい決断を迫られています。同社はドイツ国内3カ所の工場閉鎖と数万人の従業員解雇、賃金10%カットを検討しています。この背景には、欧州市場の需要減少やドイツ国内工場の高コスト構造があり、過剰生産能力を抱える中で、従来の雇用モデルを維持することが難しくなっています。
労使間では厳しい交渉が続いており、労働組合はストライキの構えを見せています。一方で、VW経営陣は「6.5%の利益率確保がブランド存続の条件」として強硬な姿勢を崩していません。
高級EV市場の低迷と競争激化
全体として、高級EV市場は停滞が続いているようです。消費者の多くが、EVに高額を支払う価値を感じなくなり、中国ブランドのコストパフォーマンスが高く評価されるようになっている自体の流れが大きいようです。EVの普及には依然として逆風が吹いていると言えるでしょう。
今後の展望
メルセデスは今後、新型SUVや自動運転技術を搭載したモデルで業績回復を目指していますが、特に中国市場での回復は楽観視できないと思われます。一方のポルシェも新型モデルの投入に期待を寄せるものの、販売ネットワークの縮小を余儀なくされているようです。
VWのリストラ計画がどのように進展するかも注目されますが、ドイツの高賃金労働モデルが変革を迫られている点は象徴的と言えそうですね。
まとめ
ドイツ自動車業界は、EV市場の停滞と中国ブランドの台頭により大きな岐路に立たされています。激動の自動車業界が今後どのように推移していくのか目が離せません。メルセデスオーナーとしてはなんとか今後も頑張ってもらいたいと思いますが・・・。
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