医学部の5年生から(早い大学では4年生から)臨床実習が始まります.いよいよ座学を終え,病棟へ向かいます.白衣を着て病棟に行く瞬間は,いよいよ医者になるという実感が高まりテンションが上がります.しかし,今までは高校生の延長でひたすら授業を受けるという事が中心の大学生活でしたので,そこからいきなり大人達が真剣に医療にあたっている病棟へ向かうとなると緊張感も高まります.
臨床実習は6人程度のグループで,消化器内科,心臓血管外科,脳神経外科,皮膚科・・・などと全ての臨床科を2週間ずつローテーションで回ります.朝は概ね7時半や8時にそれぞれの部署へ集合となるので,これまでの大学生活では1限目も8時45分からでしたので,朝が早いという事が慣れるまでは辛かったです.それぞれ,外来や手術の見学を行うとともに,しばしばグループごとのレクチャーが行われます.実臨床の最前線で診療されている先生方から直接教えてもらえる貴重な場となります.これまで系統講義で最低限の知識を身につけていたとはいえ,実臨床に必要な知識は学生レベルをはるかに超える高度なものであり,ついていくのが大変なこともあります.また,手術見学は体力的にも大変です.短い手術であれば数時間で終わりますが,長い手術であれば6時間以上立ちっぱなしで見学を行うことになるので足が棒になります.そして執刀医の先生方は集中力MAXでそれだけの時間,手術を行うということなので,本当に大変だと思います.脳神経外科での大手術は学生見学は19時頃に帰っていいことになりましたが,実際にはAM3時まで手術が行われていたこともありました.それでも先生方は翌朝からは通常通りの業務をされているので本当に激務だと痛感しました.
実習は早いときには夕方に終わりますが,長くかかる科では20時頃までかかることもあり,夕方以降,部活やバイトにはなかなか行きにくくなります.そのため,部活では5年生以上は大御所扱い,セミ引退状態として扱われることも多くなります.
また,臨床実習ではいよいよ班員同士で注射の練習なども行われます.指導医の監督のもと,お互いに採血や点滴をとる練習を行うのですが,最初は本当に緊張して汗びっしょりになります.そして,それぞれ班員メンバーの器用,不器用もわかりますw.こうして医師への階段を登っていくという実感は非常に感慨深いものがあります.とはいえ,実習は楽しいことばかりではありません.大学病院には多くの医師がいますが,中には変わった先生も当然いて,学生のことを嫌う気難しい先生にあたってしまうこともあります.指導医とマンツーマンで2週間過ごすことになる科では,どのような指導医に当たるかが大きく実習生活のストレスを左右します.一応,事前に学年全体で「あの科では●●先生にあたってしまうと悲惨だ」などの情報は共有されているので,各科初日の指導医割り当ての時はドキドキです.とはいえ,気難しい先生にあたってしまうことも実習の一環と考え,淡々とこなすしかありません.人付き合いは実際に就職した後でも非常に重要になりますので,強いメンタルを養っていくことも重要なことだからです.
こうして実習を続けながら,班員同士や同じ学年のメンバーの絆はより深まっていくことも医学部の特徴と言えるかもしれません.
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