メルセデス・ベンツが2025年10月、上海で発表したショーカー「Vision Iconic(ヴィジョン・アイコニック)」は、ブランドの新デザイン哲学“New Iconic Era(新たな象徴の時代)”を体現する、まさに未来のラグジュアリーを象徴する存在です。

1930年代のクラシックカーの優雅さと、レベル4自動運転やソーラーペイント、ニューロモーフィック・コンピューティングといった最先端技術を融合。
テクノロジーと芸術性がひとつになった「動く美術品」として世界の注目を集めそうです。
最大の特徴は、100年以上続くメルセデスの伝統的な“グリルデザイン”の進化です。
W108や600プルマンといった名車の直立型グリルをモチーフに、金属ではなく光で造形するという大胆な転換しています。
クロームフレームの内部にスモークガラスと輪郭照明を仕込み、光の表情を変える演出が施されています。
この“金属から光へ”という進化は、メルセデスが追求する新しい高級車デザインの方向性を象徴していますが、果たしてユーザーにはどう響くでしょうか?
インテリアもレトロ感があります

アールデコ様式の幾何学的モチーフを現代的に再解釈し、マザーオブパールの象嵌細工や真鍮製パーツ、ディープブルーのベルベットシートなど、クラシカルな素材を贅沢に使用しています。
デジタル要素を過剰に主張せず、むしろ“ハイパーアナログ”の思想によって、アナログの温かみと未来的感性が調和した空間が広がります。
中央の計器パネル“ツェッペリン”には光と機構の動きを融合させたアナログアニメーションが仕込まれ、乗り込む瞬間から特別な体験が始まるとのことです。
さらに注目されているのが、メルセデスが独自に開発を進めるソーラーペイント技術です。
車体全体が太陽光で発電し、年間約1万2000km分の電力をまかなうことが可能という革新的な仕組みです。
環境負荷を抑えつつ、持続可能なエネルギー活用を実現するこの技術は、電動モビリティの未来を変えるかもしれません
そして、人間の脳を模倣した“ニューロモーフィック・コンピューティング”によって、AI制御の反応速度と省電力性は飛躍的に向上し、より安全で滑らかな自動運転を支える中枢頭脳として機能するとのことです。
「Vision Iconic」は、最新テクノロジーをクラシカルで優雅なデザインに包み込み、メルセデスが掲げる「個性と伝統こそが真のラグジュアリー」という理念を体現したモデルです。
電動化が進み差別化が難しくなる時代にあって、あえて“未来を懐かしさで包む”という逆転の発想です。
個人的にはこの新しいデザイン哲学、メルセデスの伝統のなせる技とも言えるため、嫌いじゃないです。



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