アメリカで義務化されているタイヤ性能表示「UTQG」について
アメリカ国内で販売されるすべての乗用車用タイヤには、タイヤのサイドウォールにいくつかの数字や記号が表示されています。
これらの記号には重要な情報が含まれており、特に注目したいのが「TREADWEAR(トレッドウェア)」「TRACTION(トラクション)」「TEMPERATURE(テンパチャー)」の3つです。
これらはUTQG(Uniform Tire Quality Grading)表示と呼ばれ、アメリカで行われる統一タイヤ品質等級基準テストの結果を表したものです。UTQG表示はアメリカ運輸省により、国内で販売される乗用車用タイヤに表示が義務づけられています。
1)TREADWEAR(トレッドウェア)
トレッドウェアはタイヤの耐摩耗性を数値化した指標で、数字が大きいほど摩耗しにくく、寿命が長いタイヤといえます。
- 基準値は100
- エコタイヤは300~600程度
- ハイグリップラジアルは100~200程度
- モータースポーツ用は二桁台も・・・。
例えば、トレッドウェアが200のタイヤは、基準の100のタイヤに比べて2倍長持ちすると考えられます。
テストはウェスト・テキサス州のテストコースで合計7200マイルの実走により行われます。
国産タイヤでは、ブリヂストンのポテンザRE11やRE71Rが200、ECOPIA EP100は400となっています。
ただし、新しいポテンザRE71RSにはトレッドウェアの表記がありません。
これはアメリカで販売されないタイヤには表示義務がないためです。
2)TRACTION(トラクション)
トラクションは濡れた路面での牽引性能を示す評価で、AA、A、B、Cの4段階評価があります。AAが最高、Cが最低となります。
この評価は直線コースでのブレーキテストに基づいており、ウエット加速やコーナリング、ハイドロプレーニング現象などは考慮されていません。
3)TEMPERATURE(テンパチャー)
テンパチャーは耐発熱性を示す評価で、室内のドラム試験機でタイヤの温度上昇に対する抵抗性能を測定します。
- 等級はA、B、Cの3段階
- C等級はアメリカの連邦自動車安全基準の最低基準
- BやAはそれ以上の性能を持つタイヤ
高温状態が長く続くとタイヤの品質は低下し、寿命も短くなります。そのため、テンパチャー評価は長期使用の安心材料として参考になります。
落とし穴も・・・。
実はこのUTQG表示、タイヤ選びに便利そうに見えますが注意点もあります。
それは、基準となるタイヤがそれぞれのタイヤメーカーでバラバラということです。
なので、同じメーカーで異なる商品同士の比較には有用ですが、異なるメーカーでの比較となると、単純にUTQG表示を比較検討することができないということです。
ロングライフの性能などは気になるポイントですが、海外YouTuberのタイヤ比較テストなどの結果の方が参考になるかもしれません。
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