メルセデス・ベンツ・グループAGは、2025年第3四半期決算において大幅な減益となったことを発表しました。

販売台数の減少に加え、米国での関税引き上げ、そして継続中の構造改革コストが業績を圧迫しているようです。
純利益は前年同期比30.8%減の11億9,000万ユーロとなりました。市場予想の10億9,000万ユーロは上回ったものの、1株当たり利益は1.81ユーロから1.22ユーロへと大きく低下しています。
売上高は中国・欧州の不振が直撃
売上高は前年同期比7%減の321億5,000万ユーロでした。
特に中国および欧州市場での販売不振が全体の数字を押し下げています。
主力のメルセデス・ベンツ乗用車部門では、売上高が7%減少し、販売台数は12%減の44万1,453台となりました。
バン部門も低調で、売上高は13%減の40億4,000万ユーロにとどまっています。
中国市場の急減速と米国関税の影響
第3四半期の中国市場における販売台数は、前年同期比27%減と大幅な落ち込みを記録しました。
中国は同社にとって最大級の市場であり、この影響は極めて大きいものとなっています。
加えて、過去の通商政策の影響により、米国では輸入車および部品に最大25%の関税が課されていたことも、収益悪化の一因となったようです。
構造改革コスト増の中でも商品戦略は継続
CEOのオラ・ケレニウス氏は、厳しい市場環境と人員調整に伴うコスト増を認めつつも、商品投入計画は予定通り進んでいると強調しています。
第3四半期だけでも構造改革費用は8億7,600万ユーロに達しているとのことです。
一方で、新型CLAやGLCといった電動モデルは堅調な需要を示しており、電動化戦略への手応えも語られたようです。
2027年までに50億ユーロのコスト削減へ
メルセデス・ベンツは、現在進行中の変革プログラムを通じて、2027年までに50億ユーロのコスト削減を達成する計画です。
産業事業のフリーキャッシュフローは13億7,000万ユーロと前年同期比43%減少しましたが、第3四半期末時点の純流動性は323億ユーロまで改善しており、不透明な事業環境の中でも財務基盤の安定性は維持されているようです。
まとめ
今回の決算は、中国市場の急減速や米国関税、構造改革コストといった短期的な逆風を色濃く反映した内容となりました。
一方で、電動化モデルへの需要や潤沢な流動性を背景に、メルセデス・ベンツは中長期的な競争力強化を見据えた取り組みを継続していうようです。
世界的に電動化への投資が現状、報われているとは言えない状況ですが、この先、どうなるのか見守っていきましょう。


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