医学部での解剖実習ってどんな感じなの?

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 今回は医学部2年生の時に経験した解剖実習についてどんなものであったのか書きたいと思います.まず,4人ずつの班に分けられ,1班に1体の献体が与えられます.将来の医学の発展のために献体を希望された方の貴重なお身体を利用させていただくのです.私たちの班は90歳前後の女性の献体でした.献体は血液をホルマリンに置換されているようで,生体の生臭さは感じません.部屋も常時上から下へ空気が対流する換気システムとなっていますが,ホルマリン臭が付着するので,解剖実習専用のジャージなどの上に白衣を着て実習にあたります.

 実習では,解剖実習の手引きという手引書に従って体表面の筋肉などの名称を一つ一つ確認しながら内臓の方へ向かって進めていきます.人体において同定すべき構造物は膨大であり,午後1時から18時~21時頃まで連日解剖を進めますが,2ヶ月以上の期間がかかります.神経や血管の走行順や腹膜と腸管の位置関係など立体的な理解は教科書だけでは理解し難いものであり,実際の献体を用いて学べることは非常に有意義でした.構造物の名前だけでなく,各臓器の機能的な側面ももちろん試験で問われるので一気に知識量が増えます.暗記事項は膨大に増えるのでテスト勉強は非常に大変です.しかも実習疲れの中,夜遅くまで勉強をするのは体力的にも大変でした.実習を通じて献体は文字通り全身を解剖され,私達の知識となり吸収されました.感謝しかありません.(解剖実習を終えた学年は翌年の慰霊祭で献体して下さった家族へ感謝の意を伝えます.)

 解剖実習期間中,我々医学科の学生は毎日解剖を進めるのですぐに慣れるのですが,(それでもたまに貧血で倒れる学生もいますが・・・.)看護学生は途中の段階で見学にやって来るので,いきなり内臓が解剖されている光景にショックを受ける方も見受けられました.看護学生は同じ医学部の看護学科はもちろん,それ以外にも近隣の看護学生も見学にきます.その際,我々,医学生が解剖の経過などの概要を説明したりしていました.

 なお,通常の解剖では脳は除外されています.脳以外の解剖のテストが終わった後,新たに神経解剖という科目で脳の解剖実習が再スタートします.脳の構造は未だにわかっていないことも多く,組織の分かれ目も曖昧であり,解剖には非常に難渋します.そして,脳神経繊維を解剖しながら,実際にどのような神経繊維が走行しているのか学ぶことになります.こちらも覚えることが多くて難解な事象も多く大変でした.

 こうして解剖実習は医学部での勉強の前半戦の山場となります.そして,解剖実習で習得した知識は今後の臨床医学の勉強においても非常に密接なつながりを持っていくことになるのです.

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