私の勤めている小規模な病院には高齢者が多く入院されます.特に僻地ではないのですが,高齢化を実感します.外来患者さんたちは平均年齢70歳程度で概ね元気で,寧ろ血糖コントロールが悪くても入院したがらないような方々なのですが,入院患者となると平均年齢は跳ね上がります.
肺炎,尿路感染症など,嚥下機能や免疫が弱った超高齢者に多い疾患ばかりとなり,平均年齢は90歳前後となります.ほぼ全員が認知症で(程度の差はありますが,)寝たきりの方も多いです.
これらの感染症には抗菌薬を点滴で改善が見込めることが多いのですが,たまに,重症貧血などで入院となった場合には限界点が見えてきます.
若い患者さんであれば100点満点の完全な精査を行うことができるのに,高齢者ではできないという問題が生じてきます.具体的には・・・
・内視鏡検査のハードルが高い.
認知症があったり,全身状態が悪いと内視鏡検査が困難になります.胃カメラはなんとかなることも多いですが,下剤を大量に飲む全大腸内視鏡検査は不可能です.ですので,大腸癌などが出血源であった場合は診断をつけられないことも多くあります.
・造影剤を使えないことも多い
出血源や腫瘍の検索には造影CTが大きな武器になります.しかし,造影剤は腎機能が低下した高齢者では使えないことがしばしばあります.
このように,リスクの大きな検査は高齢者ではなかなか実施できないこともあり,診断をつけたいという医師側の立場ではもやもやしてしまう状況にしばしば直面します.ご本人・ご家族の希望とすり合わせながら,検査のメリット・デメリットを慎重に天秤にかけながら日々診療にあたっております.
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