【糖尿病】魔法の薬?SGLT2阻害薬

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 今日は糖尿病の薬で2014年から使用されるようになった比較的新しい薬,SGLT2阻害薬についてです.

 SGLT2阻害薬はスーグラ,フォシーガ,ジャディアンス,カナグル,デベルザ,アプルウェイ,ルセフィと多くのメーカーから様々な商品が発売されています.

 メカニズムは尿から余分な糖を排出することで血糖値を下げるという一見単純な仕組みです.おしっこに糖が大量に下りるので,尿量が増えます.そのため当初は脱水の危険性が危惧され,なかなか使いにくい薬であり,あまり処方数は広がりませんでした.

 しかし,アメリカで行われた大規模臨床試験でSGLT2阻害薬は心筋梗塞や心不全を明らかに防ぐというエビデンスが出てからは風向きが一変します.

 これまで,様々な糖尿病治療薬が発売されてきていますが,SGLT2阻害薬ほど,多面的に合併症予防のエビデンスを出した薬はありません.

 具体的には何がメリットなのでしょうか? 以下にまとめます.

①体重が減る.

 糖尿病の患者さんは肥満が問題になっています.体重が減る薬というのは多くはなく,貴重な存在です.

②腎機能障害の進行がゆっくりになる.

 糖尿病の3大合併症のうちの1つである,腎症の進行がゆっくりになると言われています.

③心筋梗塞・心不全などが減る.

 先ほど記載した大規模臨床試験で立証された事象です.糖尿病患者さんは心筋梗塞や心不全になりやすいと言われておりますが,予防効果がある治療薬はSGLT2阻害薬以外にはほとんどありません.

④脂肪肝が改善する.

 糖尿病患者さんは脂肪肝の合併が多いです.脂肪肝抑制作用がある薬もわずかしかないので,SGLT2阻害薬の存在は貴重です.

⑤1型糖尿病患者にも使える.

 これまでほとんどの内服薬は1型糖尿病(インスリン分泌が極端に低下している方が多い)の患者さんには使えませんでした.SGLT2阻害薬はインスリン分泌能に関係なく効果を発揮するので1型糖尿病にも使用できるものもあります.もちろん1型糖尿病の治療の基本はインスリン注射になりますが,SGLT2阻害薬を併用することで血糖値の安定化が得られると報告されています.

このようにSGLT2阻害薬は血糖改善作用のみならず,様々な多面的な効果を併せ持っています.私も最近は多くの患者さんに処方しています.その機序には未だ不明な点が多いのですが,いわば魔法の薬と言えるかもしれません.

コメント

  1. おっちょ より:

    家内が1型糖尿病なので興味深く読ませて頂きました。
    勉強になりました。

    • Dr.T より:

      ありがとうございます.そう言って頂けると非常に嬉しいです.SGLT2阻害薬は非常に多面的な効果を有しており1型糖尿病にも有益な薬だと思います.1型糖尿病の分野も24時間連続血糖モニタリングシステムの進歩やインスリン持続注入ポンプによる治療法などどんどん進歩していますのこれから少しでも病気と付き合うストレスが軽減されると良いですね.

      • おっちょ より:

        返信ありがとうございます。
        ちょうど先月からインスリンポンプ着用始めました。
        二週間ほど調整入院?と言うものをして退院してきましたが、まだ較正?が度々発生しているようで、はたから見ているとQOLが低下したように思ってしまいます。早く慣れて?くれればと思います。

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